プロポーズの準備開始。
『結婚相談所物語(29) 〜プロポーズ(前編)〜』の続きです。
時は来た
いよいよ、プロポーズの決意を固めた篤。
とは言え、これと言ったサプライズも浮かばずどうしようかと思案していた。
うーん、やっぱり俺の性格的に派手なのや人がいる所でのプロポーズは無理だな
まぁ、普通に当たって砕けろって感じでいくかな
不慣れなことすると絶対失敗するしね。
南「はい、分かりました。じゃあ、今週はドライブですね
」
」 なるべく二人で沢山話したかったので、少し遠くの観光スポットまでドライブに誘ってみた。
まぁ、どこかでそんな雰囲気になるタイミングもあるだろ。
そこで頑張って切り出そう
そして、迎えた当日。
(あー、やっぱり南さんといると楽しいなぁ
)
) (って、和んでる場合じゃねぇよ
)
) (あっという間にデートも終わって、あと数分で南さんの家に着いちゃうじゃないか
)
) 何度かそれっぽいチャンスはあったものの、緊張のあまりプロポーズはできていなかった。
(この関係が崩れるのも怖いし、また次回にしようかな
)
) (いやいや、ダメだダメだ。どうせ同じことの繰り返しになる
)
) (気合い入れろ、俺
)
) しかし、車は南の家の前に着いてしまった。
南「ありがとうございました。今日も楽しかったです
ずっと、運転してもらっちゃってすみませんでした
」
ずっと、運転してもらっちゃってすみませんでした
」 篤「あ、あの、南さん。次回はここに一緒に行ってもらえませんか？」
篤は南に薄い封筒を渡した。
南「ん？映画とかですか？」
封筒を開けてみると一枚のチラシが入っていた。
それは、この前、篤が訪れたジュエリーショップのものだった。
篤「すみません、ホントは格好良く指輪を出してオシャレに演出したりしたかったのですが、指輪のサイズも分からないしデザインも何がいいか全然分からないし、センスの良さとも無縁な男なんですけど、とにかくでもずっと一緒にいたくて、そうすればこうやって送ってバイバイしなくてもいいし、あっでも送るのが面倒とかそういうんじゃなくて・・・もう、何を言ってるのか分からないんですけど、結婚してください！」
しばらくの沈黙。
篤にとっては耳鳴りがするくらい痛い沈黙。
そして、南は静かに口を開いた。
南「指輪はいらないです。」
(えーー、ダメだったか
)
) 南「私が一番欲しいのは気持ちです。それは、とても伝わりました。篤さんと私は不器用な所がよく似ています。話しを聞いていて、もっと器用に生きれば楽なのにってヤキモキする時もあります。でも、そういう所がとっても好きです。似ているから足りない部分を補い合ってっていうのはできないかもしれませんが、同じ方を向いて歩いて行けると思っていました。私からもお願いします。一緒にいてください。」
(えっ、OK？OKなの？)
(エンダーイヤー♪♪♪)
篤の頭の中でホイットニーヒューストンの”I Will Always Love You”が流れた。
歌詞はとても怪しかったが
そして、二人は初めてのキスをした
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